尼崎市の委託事業者らによる紛失事案が話題を呼び続けています。
既に多くのメディアが報じていますが、本事案は2022年6月21日、尼崎市から臨時給付金支給事務を受託したBIPROGY株式会社らが尼崎市46万人の全市民情報などを記録したUSBメモリを外部に持ち出し、紛失したというものです。持ち出しは業務上やむを得ない理由でしたが、担当者が帰路に飲食店に立ち寄り、酒に酔い、カバンごと紛失し所在不明となりました。
尼崎市が紛失を明かしたのは2022年6月23日のことですが、USBメモリは翌日2022年6月24日、警察の協力のもと、担当者自身が回収しています。しかし、全市民情報という規模の大きさから、また、酒に酔い紛失するという体裁の悪さや運搬方法のまずさから、各所で怒りの声が噴出しました。
対応のまずさ浮き彫りに
本事案は受託関係企業の管理体制や担当者の責任感の欠如だけでなく、事案発生後の説明対応のまずさも批判の的となっています。
BIPROGY株式会社は2022年6月24日、事案の経緯や原因分析、再発防止策の策定などを記したPDFファイルを公表した際、紛失当事者が「委託先(株式会社アイフロント)従業員」と説明していました。ところが2022年6月26日になり、突如、「報告の修正」を発表。紛失に関わった従業員が「再委託先」ではなく「再々委託先」の所属だったと「修正」発表を行ったのです。
行政機関の受託事業は通常、事業の一部を別の事業者への委託について、何らかの条項を定めます。尼崎市も再委託や再々委託について許可を得るようBIPROGY社と契約を交わしていましたが、同社は市に再委託どころか再々委託も報告しておらず、市は委託について「紛失の報告を受けるまで知らなかった」と説明しています。
尼崎市、損害賠償も検討
BIPROGY社らの紛失事案は、USBメモリの紛失としては大きく報道されています。特にSNSやウェブニュースをはじめとするメディアでは、現在も批判が殺到し続けている状況です。市民だけでなく芸能人や著名人からも厳しい声があがっており、ブランドイメージへのダメージは非常に大きなものと推定できます。
また、尼崎市はBIPROGY株式会社と交わした契約について、契約違反の可能性があるとして、損害賠償も検討する立場を取っています。厳しい立場の同社らですが、ブランドイメージだけでなく金銭的なリスクも懸念される状況です。
参照:個人情報を含むUSBメモリーの紛失事案について/尼崎市
参照:住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付における個人情報を含むUSBメモリの紛失に関する報告の修正について/BIPROGY株式会社
参照:紛失していた USB メモリーの発見について/BIPROGY株式会社
参照:住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付における個人情報を含むUSBメモリの紛失について/BIPROGY株式会社
参照:尼崎市役所様のUSBメモリの紛失事故についてのお詫び/株式会社アイフロント