2025年6月もランサムウェア関連の事案報告多数

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画像:富士高分子工業株式会社より引用

2025年6月も日本企業やグループ会社を狙ったサイバー攻撃が相次いで表面化しています。

富士高分子工業は2025年6月3日、香港の子会社「FUJIPOLY Hong Kong Ltd.」サーバー機能を喪失し、調査の結果、外部からの不正アクセスによりランサムウェアが実行されたことを明らかにしました。影響を受けたのは事業運営に直結しない汎用データ格納用サーバーであり、同社は即座に該当サーバーをネットワークから遮断、全端末のセキュリティチェックを完了させたとしています。今後も外部専門家と連携し、被害の有無を継続的に調査しながら、新たな事実が判明次第速やかに公表するとしています。

これに続き、メディアリンクス社は2025年6月4日、米国子会社「MEDIALINKS, Inc.」において一部サーバーがランサムウェアによる暗号化被害を受けたことを公表しました。現時点で本体や他の関連事業者への影響は確認されていないものの、従業員情報などが流出した可能性が示唆されており、同社は外部専門家の協力を得つつ、影響範囲の特定を急いでいます。

2025年5月末には、大日本印刷のグループ会社であるシミックCMOの米国拠点「CMIC CMO USA Corporation」にもランサムウェア感染が発生しました。身代金要求の痕跡が確認され、調査の結果、一部顧客情報や従業員情報に漏えい懸念が浮上しました。医療関連サービスを手がけるホスピタルサービスも自社サーバーへの不正アクセスを受け、ランサムウェア感染を確認したことを明かしています。同社は2025年6月13日に外部専門家との続報も公表し、一部アカウントが侵害されデータ暗号化とシステム停止が発生したものの、取引先や顧客の個人情報を保管するサーバーからの流出痕跡は一切確認されなかったことなどを明かしました。なお、現在はバックアップデータを用いた復元を完了し、常時監視下での運用を再開しています。

医療機関を巡る侵害事例も確認されています。社会医療法人聖泉会 聖十字病院は2025年6月19日に自院サーバーへの不審な通信を検知したことを公表。不正アクセスの可能性があるとして、医療情報システムの安全管理ガイドラインに則った初動対応を開始しています。

ランサムウェアに感染した事案においては、業務停止リスクや情報漏えい懸念を最小限に抑えるため、侵入検知後の迅速な遮断・隔離措置と外部専門家による詳細調査が講じられています。企業においてはサプライチェーンを狙った攻撃も多く、体制整備が求められています。

参照当院サーバーへの不正アクセス検知のお知らせ|社会医療法人聖泉会 聖十字病院

参照海外グループ会社サーバーへの不正アクセス発生についての御報告|富士高分子工業株式会社

参照海外グループ会社サーバーへの不正アクセスの発生について|日経会社情報DIGITAL(株式会社メディアリンクス)
参照弊社ネットワークへの不正アクセスに関するお詫びとお知らせ|株式会社ホスピタルサービス
参照海外グループ会社への不正アクセスについて|大日本印刷株式会社